本部門では,次世代の社会実装を見据えて,基礎研究を技術開発に繋げる研究に取り組んでいます.

とりわけ本分門では,各学部の特色や強みを活かした研究開発を展開しており,工学分野では信号処理技術やパターン認識,生体計測技術やロボット技術を活用した研究を行っています.その一例は,無線通信や光通信の高速化に伴って生じる誤差,歪みなどの不完全性を補償する信号処理技術や,身体に装着して利用する生体センサに加わる雑音を除去し,検出精度を向上する信号処理技術の研究です(中川匡夫 教授・工学部).さらには,画像を中心に様々なパターンを計算機で認識する知能処理を研究しています.また,認識された情報をユーザへ分かり易く伝達するヒューマンインタフェースやインタラクション・システムを研究しています(西山正志 教授・工学部)(図1).これに加え,生体計測技術やロボット技術を用いて,リハビリテーションをはじめとした,本人の能力を向上させることを目指したシステムの開発も行っています(中谷真太朗 講師・工学部).

農学分野では,果樹の受粉に関する省力化を目的としたスマート農業技術の開発(竹村 圭弘 准教授・農学部),農業従事者の高齢化や人手不足へ対応するために地域の特産物を中心とした作業の機械化に関する研究(野波和好 教授・農学部)も進めています.これに加え,植物-微生物間の共生と植物免疫の制御メカニズムに関する基礎研究を行い,成果を作物生産や環境保全に貢献できる技術開発に繋げる研究に取り組んでいます(上中弘典 准教授・農学部)(図2).

さらには,我々の生活に直結するマーケティングについては,メーカーからサプライヤーを対象とした調達部門にかかる機能とプロセスの改善,および既存事業と新規事業の双方の観点からの組織の探索と深化による共創知の仕組みについて研究しています(馬場 芳 准教授・地域学部).また,哺乳類の繁殖(なかでも特にヒトを対象とした),不妊治療に関する新しい治療法や予防法についても実用化を目指した研究に取り組んでいます(竹内崇師 教授・農学部).

図1 工学の社会実装
図2 農学の社会実装